鳥居とは何か?④ 〜鳥居の分類と構造〜 【神明系鳥居・前編】+ 行ってみたくなる、変わりダネ鳥居

2020.5.20

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マーク・ケイ

マーク・ケイ ( ライター・占術家 )

墨が織り成す一子相伝の占術 “篁霊祥命(こうれいしょうめい)” を主な鑑定手法とする占術家。他にも文筆家やイベント・オーガナイザーとしての顔も持つ。また引きこもり支援相談活動なども行なっている。

変わりダネ鳥居

今回は、全国にある「変わりダネ鳥居」の数々をご紹介しましょう。

異素材鳥居に、古代遺跡調鳥居、絶景鳥居まで、実際に近くで見たくなる鳥居ばかりです。

ガラス鳥居

鹿児島県鹿屋市・神徳稲荷神社

鹿児島県鹿屋市にある「神徳稲荷神社」には、2基の透明なガラス製の鳥居があります。2018年に創建されたばかりの神社で、今や鹿屋市の新しい観光スポットになっています。

神徳稲荷神社
住所:〒893-0063 鹿児島県鹿屋市新栄町1771−4
電話:0994-36-0303

堂本鳥居

京都市伏見区・大岩神社 京都フリー写真素材

伏見稲荷大社の南に位置し、徳川家康上洛の際に、乗っていた馬の飼草を調達したことから、通称、御草山とも呼ばれた大岩山。

この大岩山の頂上付近にあるのが、今は神主が不在となった「大岩神社」。台風被害などを受けて、かなり荒廃してしまっていますが、鳥居マニア垂涎のお宝鳥居が2基存在しています。

この鳥居、明治期から昭和にかけて活躍した京都出身の日本画家、堂本印象が昭和37年に寄進したもの。その作品は、東京、京都などの国立近代美術館に収蔵されており、文化勲章なども授与される一流の日本画家です。

この大岩神社の鳥居にも、彼のアーティスティックな感性がふんだんに取り入れられています。美術ファンも一見の価値がある「堂本鳥居」。辺鄙な場所にありますが、一度訪れてみては。

*特に、もう1基の「堂本鳥居」は見もの!

大岩神社
住所:〒612-0817 京都府京都市伏見区深草向ケ原町89−2

京都府立・堂本印象美術館:HP

黄金鳥居

京都市中京区・御金神社

京都観光の折に、参拝されたことがある方も多いかもしれない、この「御金(みかね)神社」。眩いばかりに光り輝く黄金の鳥居がシンボルです。

主祭神は金属、鉱山、鉱物を守護する、「金山毘古命(かなやまひこのみこと)」です。よって、「御金神社」の「御金」とはいわゆる「お金」のことではなく「金属」を意味しており、建築設計、金型製造、船舶、自動車など、金属にまつわるご神徳が得られるといわれています。

ただ近年では、株や証券などの資産運用の成功や、競馬や宝くじでの勝利、当選を祈願する絵馬が数多く奉納される、金運・招福・開運の神様として崇敬されています。

金の鳥居は、老舗の金箔会社の手によるものだそうです。

御金神社
住所:〒604-0042 京都府京都市中京区押西洞院町614
電話:075-222-2062
HP:https://mikane-jinja.or.jp

水中鳥居

「水中鳥居」は、茨城県鹿嶋市の鹿島神宮、広島県廿日市市の厳島神社、芦ノ湖の箱根神社、琵琶湖の白髭神社、宮崎県宮崎市の青島神社、大分県中津市の薦神社、大分県湯布院・金鱗湖にある佛山寺の鳥居などが有名です。

ご紹介する「大魚(おおうお)神社」は、有明海に3基の朱の鳥居が浮かぶ珍しいもので、夕暮れ時などは一層、神秘的な光景となります。

満潮と干潮の潮位の差が大きな太良町は「月の引力が見える町」といわれます。満潮時には鳥居の上部まで海面に浸かり、干潮時は鳥居の下を難なく歩けます。

この鳥居には、以下のような伝説も。

約300年前(1693年頃)悪代官に手を焼いた地区民が示し合わせて沖ノ島に誘い酒盛りをした。酔った代官を島に置き去りにした。満ちてくる潮で島は沈みかけ、驚いた代官は竜神様に助けを求めた。すると、大魚(ナミウオ)が出て来て代官は魚の背中に乗って生還した。感激した代官は魚の名前を取って「大魚神社」を建て、岸から約2丁(約200m)の海中に鳥居も建てた。以後、海の安全と豊漁祈願が行われ、地区民の暮らしも豊かになった。この鳥居は沖ノ島との間の鳥居であり、30年毎に建立する習わしが今も伝えられている。 

平成23年8月 栄町区(太良町観光協会HPより)
実は、「水中鳥居」ならぬ「海底鳥居」も存在します。
千葉県・波左間海中公園には、洲崎神社の分社として海底に本殿(水深12m)と鳥居(水深18m)が設置されています。この海底神社は水難事故防止を祈願して作られたもの。
また、静岡県西伊豆・大瀬崎のダイビングスポットの海底にも鳥居があります。こちらは、漁礁代わりに沈められた一種のオブジェとなっています。
大魚神社 HP
洲崎神社分社「海底神社」HP
大瀬崎「海底鳥居」HP

電車と鳥居

島根県出雲市・粟津稲生神社

寺社の境内地に線路があり、参道を電車が横切る風景は意外とよく見られます。

鳥取県米子市の「日吉神社」や、佐賀県西松浦郡の「陶山神社」、三重県松坂市の「飯野高宮神山神社」など数多くあります。

島根県出雲市にある「粟津稲荷神社」は、朱色の鳥居が20基並ぶ先に線路があり、ローカル線一畑電車が通過するという、風情あるのどかな光景が見られます。

粟津稲生神社
住所:〒693-0065 島根県出雲市平野町921

埋没鳥居

鹿児島市黒神町・黒神埋没鳥居

大阪市中央区・玉造稲荷神社

桜島の黒神地区にあった「腹五社神社」の鳥居は、大正3年(1914年)に発生した桜島の大噴火によって1日のうちに、軽石や火山灰に飲み込まれてしまいました。高さ3メートルはあったという鳥居は、今は貫の部分から上が見えるのみ。

一度は住民によって、掘り起こそうとされますが、大噴火の記憶を後世に伝えるため、当時の姿のまま残されています。

一方の大阪・玉造稲荷神社の鳥居は、埋没したものではありません。

こちらは平成7年(1995年)に発生した阪神・淡路大震災によって損壊したため、柱の部分と、上部を分けて保存されているものです。尚、この鳥居は豊臣秀頼公が奉納したもので、大阪の石製の鳥居としては、四天王寺正門の鳥居とともに最も古いものだそうです。

黒神埋没鳥居
住所:〒891-1401 鹿児島県鹿児島市黒神町647

玉造稲荷神社
住所:〒540-0004 大阪府大阪市中央区中央区玉造2丁目3−8
電話:06-6941-3821
HP:https://www.inari.or.jp

鳥居の分類(神明系鳥居・前編)

「鳥居」にフォーカスして、お伝えしている短期連載企画『鳥居とは何か?』。

第二回より、鳥居の様々な種類をご紹介しています。

鳥居に、そんなに豊富なバリエーションがあったのかと新鮮な驚きを感じられた方も多いのではないでしょうか。

今回の企画を機に、神社参拝の折には鳥居を眺める時間を少しでも持っていただけたら嬉しく思います。

さて、今回より「神明系鳥居」のご紹介です。

「神明鳥居」の大きな特徴は、「笠木」、「貫」、「柱」から構成され、柱には基本的に「転び(傾斜)」がないことです。

「明神鳥居」は、細部に様々な装飾がなされていて、曲線的なイメージであるのに対して、「神明鳥居」は非常に原始的な建て方であり、直線的なイメージを持っています。

伊勢鳥居

三重県伊勢市・伊勢神宮

「伊勢鳥居」は「笠木」が五角形であり(貫は四角形)、「貫」と「柱」の間には「楔(くさび)」が入っています。

また、「笠木」の鼻(先端)が先端が斜めに切り落とされる、「襷墨(たすきずみ)」と呼ばれる形状となっています。

【伊勢鳥居のある、その他の神社】
熱田神宮(名古屋市熱田区)など

黒木鳥居

京都市右京区・野宮神社

「神明鳥居」の「笠木」、「貫」、「柱」といった各部材は、丸太の樹皮がむかれていますが、「黒木鳥居」は樹皮がついたまま組み合わされています。一般的に櫟(くぬぎ)や、檜(ひのき)の丸太が使われます。

京都・嵐山にある野宮神社の「黒木鳥居」が有名です。これまで櫟を使用して3年毎に建て替えられてきましたが、現在は防腐加工をした櫟が用いられています。

現存する全ての鳥居の、原型であり、日本最古の様式である「黒木鳥居」は、天皇即位に際して執り行われる「大嘗祭」において、その祭祀の場となる「大嘗宮」の南北の柴垣の門に使われています。

大嘗宮の鳥居

白木(白丸太)鳥居

兵庫県神戸市・生田神社

「黒木鳥居」は樹皮をつけたまま建てられますが、「白木(白丸太)鳥居」は、樹皮をはいで建てられています。

笠木は、自然木の樹皮をはいだだけですので、木の先端と根元で太さに違いが出ます。この場合、根元の方を本殿に向かって右側に配置することになっています。

表面に染みや苔が生じたり、風雨によって亀裂が入りやすいため、建て替えを余儀なくされることが多く、近年ではその数は減少傾向にあります。

陵墓鳥居

京都市伏見区・明治天皇陵(伏見桃山陵)

鳥居に使用されている木材の表面を、鉋(かんな)などで削って平滑にすることを「化粧」といいます。「陵墓鳥居」は「白木(白丸太)鳥居」を化粧仕立てにした鳥居です。写真からも表面の滑らかな光沢が伝わってくるのではないでしょうか。

天皇陵に多いため「陵墓鳥居」と呼ばれています。陵墓以外の神社に「陵墓鳥居」が設置され始めたのは、明治末期から大正期以降とされます。

【その他の陵墓鳥居】
昭和天皇・武蔵野陵(東京都武蔵野市)など

靖国鳥居

東京都千代田区・靖国神社

「白木(白丸太)鳥居」を化粧仕立てにした点においては「陵墓鳥居」と同じですが、「貫」が丸太(丸貫)ではなく、長方形(平貫)となっているのが「靖国鳥居」の特徴です。

鹿島鳥居

茨城県鹿嶋市・鹿島神宮

「白木(白丸太)鳥居」と同じく、自然木の丸太が使われています。ただし、「貫」には角材が使われ、柱の外側に突き出ています。

また、「白木(白丸太鳥居)」とは逆に、丸太の根元は本殿に対して左に配置され、笠木の鼻(先端)は、「襷墨(たすきずみ)」となっています。

【鹿島鳥居のある、その他の神社】
香取神宮(千葉県香取市)

 

次回も、引き続き「変わりダネ鳥居」と「神明鳥居」の後編をお届けします。

 

鳥居とは何か?① 〜 鳥居の起源と、不思議
鳥居とは何か?② 〜 鳥居の分類と構造〜 【明神系鳥居・前編】+ 不思議な鳥居の夢
鳥居とは何か?③ 〜 鳥居の分類と構造〜 【明神系鳥居・後編】+ 天と地を分ける銀座の社、街に点在する鳥居

 

参考文献

『鳥居 百説百話』川口謙二、池田孝、池田政弘著 東京美術
『鳥居』谷田博幸著 河出書房新社

 

マーク・ケイ のプロフィール

マーク・ケイ

画家の父、歌人の母のもと、福岡市博多区で生まれる。

バンド活動を経て、DJ、オーガナイザーとしてアート系イベント、音楽イベントなどを多数手掛ける傍ら、フリーライターとしても活動。音楽雑誌でのアーティスト・インタビュー記事に始まり、書籍、フリーペーパー、WEBなどの媒体で社会問題からオカルトまで幅広いジャンルでコラムを執筆。

引きこもり、不登校、心の病など自身の経験を活かし「ピアカウンセリング」を主軸にしたコミュニティを立ち上げる。のちにひきこもり支援相談士として当事者やその家族のサポート、相談活動を行う。

現在は亡き父から継承した一子相伝の墨を用いた占術『篁霊祥命』や独自のリーディングによって鑑定活動を行っている。2019年で鑑定活動は14年目を迎える。

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