中秋の名月を味わう美しい秋 『四季に寄り添い、祈るように暮らす(連載第六十五回)』

2020.9.24

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三浦奈々依

三浦奈々依 ( フリーアナウンサー )

フリーアナウンサー・神社仏閣ライター・カラーセラピスト。
ラジオ番組にて20年以上にわたり、音楽番組を担当。東日本大震災後、雑誌Kappoにて約7年にわたり連載「神様散歩」を執筆。『福を呼ぶ 四季みくじ』出版。カラーセラピストとしても全国で活動中。

月が美しいことから「月見月」とも呼ばれる新暦の9月。

創作和菓子職人 幾世橋陽子(きよはし・ようこ)さんにインタビューをさせていただきました。

花が笑むように笑う幾世橋さんは高校生の頃にテレビ番組で、「日本の伝統文化である友禅、和紙、和菓子職人の技を継承する若者が少なくなっている」という特集を見て、「甘いものが好きだから、和菓子だったら救えるかもしれない」と思い、和菓子の道へ進むことを決意なさいました。そして、京都の老舗和菓子店で修業を重ね、仙台に和菓子屋「まめいち」をオープン。

幾世橋さんの手から生み出された和菓子には、ひとつひとつ「物語」があります。

見目麗しい和菓子たち・・・

毎月、その季節に合わせた創作和菓子がお目見えします。

今月のテーマは「お月様」。

すり黒胡麻+黒胡麻あん+ダークチェリーのドビュッシー「月の光」。

グレンミラーオーケストラ「ムーンライト・セレナーデ 」は、シナモンきなこ+さつま芋あん+ブランデービター生チョコ+レーズン。

「幾つもの奇跡が地球を作り、わたしたち生物が存在しています。引力で引っ張られながら、月に守られている。そんなイメージで作りました」と幾世橋さんがおっしゃる和菓子「キセキの極み」は、クコの実、松の実、 小豆こし餡入りです。

銀箔を散らした「蒼月~I Love You~」は、夢のようなお味でした。

夏目漱石が英語教師をしていた頃、「I love you」を、「月が綺麗ですね、とでも訳しておきなさい」と教え子に話したというのは有名な話ですね。

月の和菓子に心癒された日、友人からオルゴール月のランプが届きました。

時計じかけを巻くと「Over the Rainbow」が流れます。

大好きな画家 越後しのさんに描いていただいた「あふれるおもい」の下に置いたら、天井に美しい花が咲きました。

さぁ、今日は月にまつわる美しい言の葉をご紹介しましょう。

今夜はどんなお月さんと出合えるでしょうか。

まもなく、中秋の名月ですよ~

 

 

心の月

「心の月」「心月(しんげつ)」という言葉は、悟りを開いた心、清く明るい心をあらわす言葉です。

いかでわがこころのつきをあらはして闇にまどへる人を照らさん

―平安時代の歌人 藤原顕輔(ふじわらのあきすけ)―

不安や悲しみで心が曇りそうになった夜は月を見上げてみませんか?

澄んだ美しい月が、あなたの心に清らかな光を届けてくれるでしょう。

 

名月

名月」といえば、旧暦の8月15日の中秋の名月のこと。

今年は、10月1日です。

昔、日本では月の満ち欠けと太陽の動きを基に作られた太陰太陽暦という暦、いわゆる旧暦が一般的でした。旧暦では7月、8月、9月が秋とされ、その真ん中である8月15日を「中秋」と呼び、その晩に昇る月のことを「中秋の月」と言ったそうです。

この時季は台風や雨の日も多いですが、晴れの夜は空気が澄んで、月も星もきれいに見えますね。

今年の中秋の名月は、朔日(ついたち・さくじつ)です。

朔日は、ツキタチ(月立)の音便で、こもっていた月が出はじめるという意味があり、毎月初めの一日=朔日に神社にお参りし、新しい月の無事を祈る風習が今も残されています。

心月。朔日に神社で手を合わせて、清く明るい心で名月を眺めましょう。

 

ふた夜の月

私は、中秋の名月の約一ケ月後にやってくる十三夜も楽しみにしています。

十五夜の三日程前に輝く月は、満月以上にいにしえの人々に愛されていました。

中秋の名月と十三夜の月を合わせて「ふた夜の月」と呼びます。

少し欠けた十三夜の月。でも、それは満ちることが決まっている欠け。

十三夜の月にかける願いは必ず「満ちる」といわれているそうです。

中秋の名月と十三夜。

ふた夜の月に願いをかけませんか?

 

無月(むげつ)

旧暦の8月15日、空が曇り、名月が見えないことをさす言葉です。

「無月(むげつ)」の異称は、「曇る名月」。

どんなに待ち侘びても、必ず名月と出合えるとは限りません。

雲の彼方に名月をしのび、見えぬ月も愛でる。

その思いから生まれた言葉が、「無月」「曇る名月」なのですね。

 

雨月

そして、もうひとつ。

中秋の名月に雨が降ることを「雨月(うげつ)」といいます。

花はさかりに、月はくまなきをのみ見るものかは。雨に向かひて月を恋ひ、たれこめて春の行方知らぬも、なほあはれに情けふかし

徒然草の言葉です。

花は満開のときを、月は雲りがない夜だけに眺めるものであろうか。いやそうではない。

雨に向かって、見えない月を慕い、すだれを垂らして部屋にこもり、春が行くのを知らずにいるのも、やはりしみじみとして情趣が深いものだ。

晴れの日も、曇りの日も、雨に日も、昔の人は目と心で月を愛で、味わっていたのですね。

ちなみに、月見をする人のことを「月の客」というそうです。

今年は名月か、雲る名月か、はたまた雨月か。

中秋の名月が夜空に輝くであろう10月1日を楽しみに、まめいちさんの「蒼月 〜I Love You〜」をもうひとついただこうと思います。

 

和菓子まめいち 

住所:宮城県仙台市青葉区本町2丁目19−9 クリスタルパレス本町ビル 東側2F
電話:022-302-4720
営業時間:10:00〜16:00
定休:水・木曜日
HP:
http://wagashi-mameichi.com/

三浦奈々依 のプロフィール

三浦奈々依

フリーアナウンサー・神社仏閣ライター・カラーセラピスト。

ラジオ番組にて20年以上にわたり、音楽番組を担当。
東日本大震災後、雑誌Kappoにて約7年にわたり「神様散歩」の連載を執筆。心の復興をテーマに、神社仏閣を取材。

全国の神社仏閣の歴史を紹介しながら、日本の文化、祈りの心を伝えている。

被災した神社仏閣再建の一助となる、四季の言の葉集「福を呼ぶ 四季みくじ」執筆。


http://ameblo.jp/otahukuhukuhuku/
アマゾン、全国の書店、世界遺産・京都東寺等で販売。


カラーセラピストとしても全国で活動中。
旅人のような暮らしの中で、さまざまな神社仏閣を訪ね、祈り、地元の人々と触れ合い、ワインを楽しむ。

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